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「恨みを晴らすとは……具体的にどうするつもりだ?」
魔王の嬉しそうな声に、私は現実に引き戻される。
ラウは「そうですね」と口角を上げ、語り出す。
「こやつの父母のように、首を切って終わり、では生ぬるい。
もっと痛めつけなくては、私の恨みは晴れません。
まずは、爪と指の間に針を刺し、そのまま少しずつ力を入れ、爪を剥ぐ。
その次は耳たぶをハサミで徐々に切れ込みを入れる。
体中に焼印を入れた後は、千枚通しの先端を、眼球にあて……」
ラウは含み笑いを浮かべながら、スラスラと私への具体的な処罰方法を話し出す。
それは聞くに堪えない内容で、私は途中から、それが自分に向けられているものだとは考えられなくなった。
遠い昔の話か、物語の中の話のような。
ラウの口から、こんなおぞましい単語が次から次へと発せられることが、不思議で仕方がなかった。
だって、私の知っているラウは、
聡明で、親切で、丁寧で。
人間のみで構成されていた宮中でも浮くことがなく、むしろ、皆から慕われ、可愛がられていて。
そんな彼を見て、私は心底嬉しく思っていた。
人間と魔族は、共存できる。
そう、確信していた。
そんな状態が崩れ出したのは、今から1年前。
我が国土に多く分布する樹木、ルチスタ松が大量枯死した頃からだ。
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