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「ラウ、お前の言い分は分かった。
しかしそれでは、時間がかかるのではないか?」
ラウの瞳が、怪しく光る。
「えぇ。その通りです。
だから私は、処刑のように、皆の前で公開する気はございません。
実は、自室内に、折檻部屋というものを設けました。
私はそこに彼女を閉じ込め、月日をかけ、少しずつ、少しずつ、嬲り殺したいのです」
そうした方が、楽しいではありませんか、と笑みを浮かべるラウに、魔王は強く頷く。
「ラウ、私は心配していた。
人間社会に馴染みすぎた末子のお前が、その本能を失ってはいないかと。
しかしそれは杞憂だったようだ。
魔族特有の鋭い牙。
それが現存することが、今、証明された。
よかろう。この女は、お前の好きにするとよい。
しかし、その亡骸は後日、私に献上するように」
かしこまりました、と頭を垂れるラウ。
私は、兵たちに小突かれ、手を後ろで縛られたまま、よろよろと立ち上がる。
ラウ、あなたの日々のふるまいはすべて、ニセモノだったのね。
でも、それも仕方がないのかもしれない。
対等だ、共存だ、なんて、耳障りの良い言葉ばかりを口にし、本質を見ていなかったのは、きっと、私だ。
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