2.不毛姉妹~妹が高圧電流を全身に浴びた話

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 しばらく地獄の時間が続いてのち、ようやくアタシは解放された。  警察にご迷惑をかけたのは生まれて初めてだし、色々問い質された…というか、怒られたというか…馬鹿にされたわけだけど。  とにかくショックやった。生きた心地もしなかった。  過去に補導歴がないかどうかということまで調べられたし。  電車に乗ってバスに30分乗って、更にテクテク歩いてアタシら姉妹はアパートに帰ってきた。  その間、首筋に洗濯ばさみ挟んだまま。  お姉のにこやかな笑顔と冷たい視線にさらされて、アタシは生きた心地がしなかった。  どうでもいいけどこの人、まだ1回も(アタシ)に向かって話しかけてへんで。  オールド・ストーリーJ館(AからI館までは聞いたことがない)。  大層な名前だけど、それは東京とは思えない荒地の真ん中にポツンと建つ木造2階建てのボロアパートだ。  ここの2階の1室がアタシの新居。  姉は大家なのだ。 「せ、洗濯ばさみ、そろそろ外してもいいですかね?」  すごい下手に出て聞いたのに、あえなく無視された。
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