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「お、俺……返したぜ、テスト前に」
――ハア!?――
映理もクラスメイト達も、それを聞いて耳を疑った。
しかし、その言葉に抱く心象は映理とクラスメイト達とで大きな隔たりがあった。
「映理が何か誤解をしているのでは?」と疑惑を抱く周囲に比較し、映理の内心はこれ以上ないほど荒れ狂っていた。もうこれ以上の憤りは人生では在り得ないかもしれないと思えてしまうほどに、ぐつぐつと煮えたぎる怒りで頭はいっぱいだ。
なぜなら、映理はその目で確認しているのだ。テスト中、ヌケヌケと映理のコンパスを使ってテストを解き、使い終わった後に机の中の道具箱にしまい込むその一連の行動を。
「ふざけないで!!!!」
映理はもう今すぐにでもその机の中をひっくり返してやりたい気持ちを抑えつつ、指をさして男子生徒を糾弾した。
「その道具箱にしまったでしょ!! 私見てたんだから、そんな言い訳信じるわけないじゃない!!」
クラス全員の注目が映理と男子生徒へと集中した。間がいいのか悪いのか、教師は職員室に行っていて止めるものは誰もいない。
皆が息をのんで、事態の結末を見守っていた。
だが、その終わりは実にあっさりと訪れた。
映理の敗北という形で。
「見てみろよ、ほら!」
男子生徒が机を抑えながら道具箱を引き出し、その中を見せつけるように外へと晒した。周囲の視線が一気にその中身へと注がれる。
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