5人が本棚に入れています
本棚に追加
自分の目線より少し下にある、上目遣いの丸い瞳と目が合う。そこには、少年のような短髪をして、店の看板と同じ書体の前掛けをした少女が立っていた。
持っているはたきを肩に担ぎ、ふすっと一つ息をついた少女は、その幼い指で髑髏をさして語りだす。
「それはね、『水晶髑髏』。超古代文明の遺物と『言われていた』やつだね。なんか最近になって、ごく新しい加工品だったことが証明されたとか……まあ、それはレプリカなんだけど」
語りながら、視線は正面から外さずに、まるで様子を窺うような上目遣いのまま少女は首を傾げた。
「買う? それ、結構高いけど……ああ、あといらっしゃい。ようこそ万来堂へ」
半身になり、店内のさらに奥へと誘うように手を指し示す少女。店の奥は薄暗く、行ったら二度と戻って来れないかのような異様な雰囲気に、彼女は息をのんだ。
「店主代理の法月作楽だよ。たぶん同い年くらいだよね? 以後お見知りおきを……」
差し出された手のひらを、おずおずと握り返す。
少女の乾いた肌の質感と、その柔らかさが何ともアンバランスで、汗でしめっている自分の手とはずいぶん対照的だなと、場違いな感想を彼女は抱いていた。
最初のコメントを投稿しよう!