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「依田秀人です。小4から高3までバスケやってました。よろしく」
まだ鼓動に違和感を残しながらも、自分の順番が回ってきたので平然を取り繕ってやり過ごした。
たった一言だけ。それでも十分すぎる発言の場となった。
周りを見れば、自己紹介に真剣に耳を傾けているのは半数にも満たないだろう。殆どが、机に突っ伏して寝ているか、近隣の席の者との話に夢中だ。
担任は特に気にする様子もなく淡々と自己紹介を進め、「はい、じゃあ次の人」と指揮をとっている。
秀人は真ん中くらいの席なので、あと半分の自己紹介を聞くことになる。わりと真面目にクラスメイトの発表を聞いていた秀人だが、佐々木雪の発表の後から、クラスの奴らとは別の意味合いで集中できなくなった。
佐々木雪が気になって、ほかのクラスメイトの話が全く耳ってこないのだ。
気になる理由…それは秀人に大きな衝撃を与えた。
だって、
だって佐々木雪が、
まさか男だったとは思いもしなかったから。
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