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サラサラした細めの髪は、頭の高いところで天使の輪っかを描き、窓からの光で注ぎたてのダージリンディーのような色をして揺れていた。
片方を長く残したアシンメトリーの前髪から覗く瞳は薄い茶色で、筆を撫でたような切長の目。
短く切り揃えられたネープラインから続くうなじは細く、陶器のような青みがかった色白。
薄く形の良い唇の下に、少女漫画のような細く尖った顎先がたたずむ。
今朝、向かい側の校舎の屋外階段で見かけた陶器にように灰白く華奢な腕。
彼女、いや、彼が『佐々木雪』だったのだ。
秀人は一瞬で気持ちを持っていかれてしまった。
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