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昼休みは近場の席でなんとなくまとまって弁当を食べた。
「へぇ~、依田くんてバスケやってたんだ〜。」
コンビニのサンドイッチを頬張りながらピンクの髪が聞いてくる。えっと、この子の名前なんだっけ?
あぁ、リサだ。
それより食べるか喋るかどちらかにしてほしい。
「ねぇねぇ、依田くんて彼女いる?」
今度はツーブロックの緑の髪。こっちはユカリ。
女子から飛んでくる質問は右から左に通り抜けていく。
秀人の視線の矢は標的を射止めるべく教室中をさまよう。
教室で弁当を広げるクラスメイトたちをすり抜け、佐々木雪の姿が消えた。
コミュ障かと思うほどに無口なやつだから、弁当もひとりが良いのかもしれない。
ーーーーいやいやいや。どーした俺よ。
ーーーーあいつは男だぞ。
ーーーーこれまで彼女に困らない人生だった俺だ。
気がつくと佐々木雪を目で追っている自分に動揺を隠せない。
なにがどうしたらこうなったんだ。
秀人は持っていたおにぎりを口に加えると、立ち上がってジーンズの後ろポケットに差し込んだスマホを取り出した。
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