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好きなアニメの話で盛り上がっているリサとユカリの会話が一瞬途切れ、秀人の挙動に目を見張った。
「ねぇ、彼女の写真見せてよ」
ニヤニヤと期待に目を輝かせる二人の顔から、こういうとき女は値踏みするために見たがるということを秀人は知っていた。
彼女がいるのかと聞かれ、隠すことでもないのでK大に通う同級生だと話した。
「彼女が嫌がるから写真は見せないよ。悪いな」
そう言ってごまかした。実際、恋人のマチは非の打ち所のない美人顔だ。切れ長のくっきり二重瞼に黒目がちな大きな瞳は妖艶で、一目惚れした男は数知れない。
だがリサとユカリが写真を見せろという理由はちょっとした非を見つけ出すための値踏みだ。マチを守るのは彼氏である俺の勤めだ。
「えーけちー、ちょっとくらいいいじゃん」
2人は口々に文句を言いながらもあっさり諦めてくれた。もしかすると最初からさほど興味もなかったのかも知れない。
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