ウソつき

　
　「本当に、治る？」

　純粋で、汚れの無いこの目に見つめられたら、

　「絶対、治るよ」

　としか言えなかった。

　絶対、大丈夫。

　助からない……なんてもう思わないことにした。

　必ず救ってみせるから。

　ずっと、そばに居てあげるから。

　母親としてのこれ以上無い愛情を、

　多分、注いであげられたはず。

　頭を何度も何度も撫でる私の隣で、

　いつも看護師さんはにっこりと微笑んでいた。

　まるで、楽園だった。