結婚まで993日 #堂道と弟分

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結婚まで993日 #堂道と弟分

休み前、一人飲み過ぎた朝。 ソファで寝落ち。 陽はすっかり高いのに、煌々とついたままの照明は夜中からの延長。 インターホンが鳴る。 アレクサちゃんに開錠してもらって、現れたのは弟分。 「ちょっと~!? ゲシさん、生きてる~!?」 死んでるよ。 「一人で何本開けてんすか。タバコも! 吸殻あふれてるし。まったく、アル中の飲み方だよ、これ」 カランカランカランカラン。 草太のやつ、空き缶集めてやがる。 うるせえよ! しかし声にならず。 カラカラカラカラ。 草太のやつ、窓開けやがった。 寒ぃよ! しかし声にならず。 「ゲシさぁん、胃の薬持ってきたけど。これ、肝臓の数値も絶対ヤバいことになってるよ。一回検査しましょう」 医者ヅラすんな。 「これじゃ絶対早死にするって」 別にいいよ、死んだって。遅かれ早かれ人はいつか死ぬんだし。 「なにか生活に楽しいことがあればいいのにね」 楽しい事ってなんだ。 「女とかさ」 ねえよ、 ねえし、めんどくさい。 「ていっても、周りには女の子全然いなそうだよね。合コンも全然セッティングされないし。うちのナース紹介しようか」 「それは興味あんな……」 がらがらの喉を通ってようやく声になる。 「やっぱ、やめとくわ……」 「なんでだよ」 「彼女じゃなくて看護要員になりそうだもん。紹介した俺の面目がつぶれる」 フン。 再びソファに身体を投げてふて寝再開。 どうせ俺は不良債権だよ。 俺は結構、好きな女にはやさしいぞ? 結婚まで993日
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