4380人が本棚に入れています
本棚に追加
結婚まで993日 #堂道と弟分
休み前、一人飲み過ぎた朝。
ソファで寝落ち。
陽はすっかり高いのに、煌々とついたままの照明は夜中からの延長。
インターホンが鳴る。
アレクサちゃんに開錠してもらって、現れたのは弟分。
「ちょっと~!? ゲシさん、生きてる~!?」
死んでるよ。
「一人で何本開けてんすか。タバコも! 吸殻あふれてるし。まったく、アル中の飲み方だよ、これ」
カランカランカランカラン。
草太のやつ、空き缶集めてやがる。
うるせえよ!
しかし声にならず。
カラカラカラカラ。
草太のやつ、窓開けやがった。
寒ぃよ!
しかし声にならず。
「ゲシさぁん、胃の薬持ってきたけど。これ、肝臓の数値も絶対ヤバいことになってるよ。一回検査しましょう」
医者ヅラすんな。
「これじゃ絶対早死にするって」
別にいいよ、死んだって。遅かれ早かれ人はいつか死ぬんだし。
「なにか生活に楽しいことがあればいいのにね」
楽しい事ってなんだ。
「女とかさ」
ねえよ、
ねえし、めんどくさい。
「ていっても、周りには女の子全然いなそうだよね。合コンも全然セッティングされないし。うちのナース紹介しようか」
「それは興味あんな……」
がらがらの喉を通ってようやく声になる。
「やっぱ、やめとくわ……」
「なんでだよ」
「彼女じゃなくて看護要員になりそうだもん。紹介した俺の面目がつぶれる」
フン。
再びソファに身体を投げてふて寝再開。
どうせ俺は不良債権だよ。
俺は結構、好きな女にはやさしいぞ?
結婚まで993日
最初のコメントを投稿しよう!