結婚まで992日 #堂道と羽切嫁

1/2
前へ
/103ページ
次へ

結婚まで992日 #堂道と羽切嫁

 仕事帰り、羽切宅で今季の鍋納め。  今風に言うと『鍋パ』らしい。 「鍋ってみんなで食べるとうめえよなー」 「堂道君……、お願いだから再婚しなよ。なんか、独り身でかわいそう」 「うるせーよ」  羽切の嫁さんとは、二人が結婚する前からの知り合いという裏設定。  二人の出会いはざっくり言うと俺の紹介。  詳しく言うと、俺ととある営業先の女性(以下Aさん)が、なんかいい感じになりそうだったことがあって、その時に俺が羽切を、Aさんが羽切嫁を呼んで、四人で飲んだのがきっかけだ。  昔から、俺の友達と友達がイイ仲になることがけっこう多い。  俺、人生で五アシストはしてんじゃねーか? 別れた奴らも入れたら十アシストは軽い。功労賞モンだろ。俺にそんなつもりはねえのに、知らねえ間にくっついてやがる。名脇役というか助演というか、名引き立て役? あ、こういう場合は名仲人か。  まあそういうのが上手い奴に限ってシュートが決めらねえのはゲームと一緒。決定力不足。  まさにその通りで、結局Aさんと結婚はもちろん、つきあうにも至らなかった。なーんか逃げ足だけは早くなるんだよな、年齢と共に。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4380人が本棚に入れています
本棚に追加