1000日後に結婚する夏至

結婚まで977日 ＃堂道と夏実

……なんだ？
なんか。
すげえ。
見てくる。
夏原が。

＃1000日後に結婚する夏至

グループミーティング。
榮倉、尾藤、椎野、夏原。
我が二課のメンバー。

「っつーことで、夏原、頼むわ」

　書類から顔を上げる。

「…………ハイ」

　え、なに、その間(ま)。
　ついでに言うと、睨み、長くね！？　
　ガン見してんぞ、俺を！
　いつもできるだけ目ぇ合さねえようにしてやがんのに。

「なんか問題あんのか」

「…………いえ、別にありません」

　何？　何なの。
　なんでそんな怒ってんの。いつもだけど。
　今のミーティングでそんな怒るような仕事、あったかよ。
　怖ぇな。

「椎野、進捗」

　書類から顔を上げる。
　え、何か夏原また、俺見てる！？
　え、めちゃ見てくる！
　凝視。ちょっと、あまりに直接的すぎて失礼だよ、キミ。
　なんなんだよ。なんだよ。なんかしたかよ。

　あ？
　夏原、俺のこと好きなのか？

…………いや、ないわー。絶対ないわー。それだけはないわ。
　どんだけおめでたくてもそれは、それだけは絶対ナイ。
　こいつの俺への嫌悪は本物だし、今の視線もそういうんじゃねえ種類のやつだしな。なんつーか見方があからさますぎる。

　意味わかんね。
　夏原に、なんか心境の変化でもあったのか？
　試しにちょっと歩み寄ってみるか？

「最後に一つ。あー、年度末だし飲み会でもするかー？」

「私、無理です」

　即答かよ！

「あ、そ……。じゃ、行く気あんなら営業のやつらで計画しろ。終わり、解散」

　ばらばらとメンバーが立って席に戻っていくのを、ぼんやり見つめた。
　俺が残れば、何か言いたいことがあんなら夏原も残るかと思ったが、さっさと、なんなら一番早く退室した夏原。

　昔はもうちょっと女子とうまくやれてた気すんだけど……。

　俺もトシかねぇ。
　若い女の子はオッサンには理解不能。

＃結婚まであと977日