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結婚まで970日 #堂道と合コン
『ゲシさん、昨日あれからどうだった?』
昼休みに草太から電話。
昨日、飲みに誘われて行ってみれば。
「おまえなぁ、女いんなら先言っといてくれよ」
『だってー』
草太の勤める総合病院の看護士サンたち五名が同席。
草太は女衒(女を遊女屋に売る人)みたいな扱いだから、合コンというか俺を励ます企画というかちょっとしたハーレム状態。
『主任と何もなかったの?』
一人だけ、方向が同じだという『主任』の女性を駅まで送っただけ。
「あのなぁ、どうもなにも人の命が尊すぎてそんな気になれねえわ」
『主任』の話が興味深かった。本気の、生命倫理論的な。
飲みに来てまで仕事、しかも真面目な話なんかしたくなかっただろうけど、若い女の子とはノリも話も合わねえし、二十代に一人だけ混じっていたアラフォーの主任と真面目な話をしてしまった。
俺は医者家系に育ちながら、現場の事や臨床をほとんど知らない。
「オバサンは楽だわ。オバサン、いいわァ」
『今、アラフォー以上の読者を敵に回したよ』
「だから読者ってなんだよ? まあ、オバサンにダメ出しばっかされんの、うざかったけど」
『ゲシさんの生活見てるとね、医療従事者ならいろいろ言いたくなるのよ』
ほっといてくれ。いやしかし、不養生で勝手に病気になって、医療従事者の方に迷惑かけるのはよくない(昨日の主任の話の成果)。
健康に死ななければ。
『今度はゲシさんが斡旋頼むよ』
「交換条件みたいに言うな。昨日の頼んでねえじゃん。最近、若い女と関わること自体ねえし無理だっていつも言ってんじゃん」
手持ちのカードはみんな結婚してる。
新たなカードは配られないし、山札をめくりに行く気も起きねえし。
『知ってるけどさー! なんとか頼むよー。俺も同僚からせっつかれるんだよ。会社じゃなくても取引先とかいるでしょ!?』
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