1000日後に結婚する夏至

結婚まで970日 ＃堂道とニューアイコン

　草太にメッセージを送ったらソッコー電話かかってきた。

『どうしたのいきなり！？　ゲシさんやっと本気出しれくれたんだ！？』

「まあな」

　フフン。
　いや、まあ……ちょっとした偶然なんだけど。
　ま、持つべきものは部下ってことで。

「んで、なんでか俺が連絡係みたいになって」

『ああ、その方が女の子も安心でしょ』

　あ、最近ってコレ、普通なの？　効率悪いけど？
　謎の責任持たされて、すっげぇめんどくせーんだけど。

『会社の子だよね？』

「直属の部下じゃねえけど」

『その子は幹事引き受けてくれただけ？』

「いや当人。カレシと別れたらしいから」

『おっ、まじか。かわいい？』

「かわいい系。ムネでかい」

『俺、別にそこどっちでもいいしー』

　あ、そ。
　別に俺も巨乳好きってわけじゃねえけど。
　医者にとって人の身体は欲情するより取扱商品でしかないようだ。

「まー、いついけるかまた知らせて」

『金曜日でいいよ！　どうせ俺らは不規則だし』　

「えらい急だな」

『あ、その子。誰さん？』

「たまゆらサン」

　ビルの中間階にある屋外の喫煙所。
　夜は室外機の音が昼よりうるさく聞こえるのは何でだろ。

　アプリを開くと、多種多様な画像が並ぶ。
　男のくせに子どもの写真とかプロフ画像にすんなよ。

　増えたばかりの新しいアイコンは、海とちっちゃな人影。

　目を凝らす。
　コレ、水着か！？

　拡大、すんのはやめとこ……さすがに。

『糸』？って思って、社内システムで確認したら、たまゆらサンの名前らしい。　
『糸』って名前、初めて出会ったな。

　しかし。
　たまチャン。謎の急展開。
　たまチャン、意外と肉食系。

　トーク画面に一文。

『玉響 糸です。よろしくお願いします』

　こっちは既読つけたのみ。
　だってよ、距離感も文体もわかんねーよ。

……つか、余計な感情要らねえじゃん。
　業務。仕事。報連相。

『今週、金曜日で日程よろしいですか』

　おし、完璧だ。