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主な回答。
『彼女は恋と勘違いしています。若いときは無条件に年上がよく見えるものです。毅然とスルーしてください』
うんうん、それな。つか、ない。それはない。相手は俺だ。
『あなたはパパ活の候補です。多少痛い勉強代ではありますが、一発ヤラせてもらって、いい思い出にしましょう』
いくらで? と思いかけて、最後まで想像する前に思考を捨てる。パパ活にしちゃ会社の上司相手に小遣い稼ぎって身内すぎんだろ。
『美人局か人事のスパイです。セクハラ耐性テストの可能性があります!』
え、まじで。人事、コワイ……。
『オッサンの足下を見たギャルのきまぐれな遊びです。クラスでキモオタ系のオタクがきらきら女子に興味本位でちょっかい出されてる勢力図です』
高校ん時、そういうことされてる奴いたわー。
『ドッキリです。女性部下は仕掛け人です。裏でみんながあなたを笑ってますよ!』
怖ぇ。
「ま、おおかた、合コンの一件で俺と話するようになって、それから嫌悪メーターがおかしくなってるっつーか、感覚が麻痺してんだろうな」
そういう自己防衛本能があるって聞いたことある。
継ぎ足そうと焼酎の瓶を傾けると、中身はほとんど空だった。
「チッ」舌打ちして、手慰みにアプリを立ち上げる。
『月がキレイです』
さっき届いていたメッセージ。
ソファに寝っ転がる。
そこからベランダの上に空が見える。
満月か。
大きく、白く、自ら光を放つかのように煌々と輝いている。
おいおい、タマちゃん、知ってるかい。
夏目漱石が意訳したのは何の英語だったのか。
「確かに、綺麗だな……」
結婚も彼女も欲しいとは思わないけど、なにかに感動したときそれをわかち合えるの存在ってのはちょっといいかもしれない。
月と酒と、そういう存在。
いるだけで心がちょっと丸くなる。
ま。陰キャいじめだろうが、パパ活だろうが美人局だろうがどうでもいい。どこかの回答者さんのアドバイスにあったように「毅然とスルー」。
そもそも、タマちゃん。
人事に頼まれたのか知らねえけど、残念ながら、俺が部下に手を出すことは絶対ないんデス。
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