結婚まで944日 #堂道とメーデー

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結婚まで944日 #堂道とメーデー

 せいせいしてる。  ビシィッと言ってやったのだ。  別に直接の上司と部下ではない。  ましてや男と女の何かがあったわけでもない。  同僚のそれ以上でも以下でもない。  おかげで日々に余計な気苦労がない。  毎日を邪魔されることも、イライラすることもない。  メッセージも来なくなったがそれでいい。  そもそも頻繁にやりとりしていたわけでもない。  偶然、社外で会っても、きまずいなんてこともない。  別に普通。無関係。  ま、ちょーっとだけはきまずいかもしれない。  かといって、周囲に気を遣わせるような関係性はそもそもない。  一瞬、「あ、飲みに行こうっつってたの、今実現してんじゃん」とかいう自分の中で思い出の振り返りはあったかもしれない。  もっとも、それを口に出して言うような間柄ではない。  いや、ほんと、マジで。  会社の人間関係にわずらわされるのが、人生で一番の時間の無駄だ。俺の持論。  だから、よその課のことなんてそもそも知らねえし、関係ねえ(関係ないことはないが)けど、だめだ、耳が完全に電話の声を拾ってきやがる。  つか、一課の営業誰もいねえのかよ。なんでいねえんだよ。  おい、夏原。電話変わってガツーンと言ってやれよ。 ―――あーーーー! ったく!  俺は席を立って、ずかずかと進んだ。  胸ポケットからペンを抜いて、勝手にデスクのメモ用紙を借りる。  オイ、かわいいクリップで留めてやがんな。このキャラ、マメシバかよ。  別に特別な指導ではないし、特別な親切でも、特別な感情でも一切ない。  理由などいらない。円滑に仕事をするためだ。  ま、ちょっとだけ、いっとき仲良くやりとりしたよしみみたいなモンはあるかもしれねえけど。  だって仕事だからな、しょうがねーじゃん!? #結婚まで944日           
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