結婚まで930日 #堂道と心眼

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 スマホに触れて、ため息が出る。 「しかし。まあ。なんか。すげえわ。若いわ。糸チャン」  ちょん切ったはずの『糸』は一本の電話によって、また結びなおされたらしい。  まさに『糸デンワ』なんちゃって。さむ。  毎朝、一緒の電車だし、ラインは復活した。 「……ま、今だけだろ。変な熱に浮かされちまってるだけ」 「え、糸ちゃん、ないの!? もったいなくない!?」 「何より会社の人間だもん。ナイ。無理。つか、一体あの子らいくつだよ? 親子ほども離れてるよ。なんか色々リスク多すぎ」 「えー」と草太は不満そうだ。なんでお前が残念がる? 「……俺は小夜ちゃん、結構本気だよ」 「本気で結構。しかし、まさかお前と佐代田さんとはなァ。世の中何が起きるかわからん」  スマホにメールが届く。  明日の夜の接待がキャンセルだ。   「結婚式でスピーチしてよ」 「もう結婚の話かよ。つきあってもないんだろうが」 「俺と小夜ちゃんが結婚して、堂道糸夫妻と仲良くするとか超楽しくない?」 「めでたいな、お前」  おもしろい未来かもしれねえけど。  そんな未来は訪れません。悪しからず。  糸を振るまであと1日
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