1000日後に結婚する夏至

結婚まで900日 ＃堂道と羽切

「おつかれさん。あと、コンペおめでとう」
「サンキュ。あと、ヘルプも。助かった」
「うん。玉響さんもいい経験になったんじゃないかな」
「なにより」
「玉響さん……」
「なんだ？」
「いい子だよ」
「……ああ？　あ、そう」
「いい子だと思わなかった？」
「別に」
「若いし」
「……お前、何か知ってんの？」
「まあ、上司ですから」
「余計なことすんなよ」
「だってこんなこと、普通ないよ！？　奇跡に近い……」
「まァ、奇跡は同感だな」
「付き合わないの？」
「普通、付き合わない。つーか、相手にしないだろ」
「え、なんで？　チャンスは必ずモノにするのがお前だろ」
「それにしては相手が悪すぎる」
「玉響さんが？　どこが？　男としてはおいしくない？　若い女の子なんて望んでも手に入らない」
「会社の部下だぞ。手ぇ出していいことなんか一つもねえだろ。年齢だっていくつ離れてると思ってんだ」
「年齢って問題？」
「大問題。お前だったらいけるか？」
「……確かに。でも、室だったら絶対行くだろうけど」
「むしろウェルカムだろ」
「お前にもそんな軽さが欲しい」
「回避できんのに、わざわざ失敗と後悔をしに行くとかアホだろ。このトシで」
「奇跡なのになぁ」
「奇跡だけど」
「もったいないよ」
「もったいないかもしれねえけど」
「部下の成功を手助けするのは上司の役目？」
「おい、余計なことすんなよ」
「はいはい」
「すんなよ？」
「はーい」

＃羽切課長、ナイスアシスト賞まであと一週間