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「私は新幹線で帰りますが」
「別に」
って、かわいくねえ返事しちまったよ、オイ。
けど、こっちもいっぱいいっぱいなんですわ。
百二十パーセント、想定外だからな。
けど、認めちまったからには一緒に帰ろうヨ。
アー。読者の皆様。
恋愛の始め方、教えて下さい。
年上っぽくて、素敵なオジサマっぽい、大人の。
……いや、だから、読者って誰だよ!
「か、課長! 私、邪魔だったら一人で帰りますから……!」
「邪魔じゃねえよ」
とにかく、うまいもんでも食わせてやりてえな。
たぶん喜んでくれるだろうあんたの顔を、目を逸らさずに見てみたい。
「腹減ったー。せっかくだし、ひつまぶしでも食ってくか。なに? 腹減ってねーの?」
たったこれだけ、ただメシ誘うだけで、そんなにかわいい顔してくれんのか。
糸チャン、やべーな、オイ。
やべ、顔ユルんでるわ。
さすがに今日の今日では無理だけど、明日か明後日か、できるだけ直近で、すげぇ高いレストランとかで花とかプレゼントとか買って、世紀の告白してやるよ。
オッサンの強味なんて経験とカネしかねえからな。
って、いきなり社用車とか、シマらねえけど。
俺の人生、最後の恋だ。
すべての力を使い果たすつもりで、俺の全力で愛してやるよ。
愛してやりたい。
いや、愛させて。めいっぱい、一生分。
堂道夏至、最後の恋のはじまりだ。
#893日後に結婚することを俺はまだ考えもしていない
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