結婚の186日前に語る893日の事

2/2

4377人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
「結果、堂道君が選んだのはホテルでしたが。せめてホテルのバーで口説くワンクッションを置く手もあったかと思います」 「……あの夜の俺、余裕なさすぎだな……かっこワル。まあ、ずっと感情を押し殺してたその反動はあったかも」 「いつから押し殺して、たん……んん。……次長、お酒くさーい」 「さて、いつからでしょうねェ。タクシーの中のたまゆらサンはかわいかったナァ。きゅっと口結んで、固い顔して、緊張してんの丸わかり」 「当たり前ですよ。いきなりの急展開に。どこへ行くのか、どんな状況かもわからないで。エレベーターの中でキスされるまで、本気で普通に宿泊付きの出張の可能性も残してました」 「あれはなあ、フライングだよなぁ、反省。あとちょっと部屋まで我慢しろってんだよな」 「私はフライング万歳でしたけど?」 「気づいたらキスしてた」 「このひとは、全く堪え性のない」 「……衝動だな。理性がすべてを凌駕した」 「リョウガ。ふふ」 「かわいすぎた、糸チャンが」 「えー! 過去形ですかぁ? きゃ! じ、ちょ、んんー……」 #186日後に結婚が決まっている二人 #糸に飲まされた
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4377人が本棚に入れています
本棚に追加