結婚まで890日(おまけ)隣の奥さんは見た

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結婚まで890日(おまけ)隣の奥さんは見た

 朝食の牛乳を切らしていたことに気づき、駆けこんだマンション前のコンビニで、私は見てしまった。 「かちょー」  課長だって。あらあらかわいい。休日出勤? しかもこんな朝からお仕事、ご苦労様ねぇ。 「なんだ?」  え、この声! 堂道さん!? っていうか、役職、課長でいらしたのね! 「これ買っていいですか?」 「いいぞ」  え!? 私服!? っていうか部屋着!? なんなのその『カレの服借りました』感は! 「これも買っていいですか?」  っていうか誰!? 若っ! 「朝からどんだけスイーツだよ。メシ買えよ。パンとか」 「朝ごはん代わりにこれ食べます」  朝ごはんの代わりになるわけないでしょ! 「さすが若ぇな……おい、要るもの入れたか?」 「ハイ! 下着とか化粧品とか入れました」  めちゃくちゃ朝帰りじゃないのー! 「これも」 「いるなら買えば」  いりません! そんなクジ! 無駄遣い! 「これも」 「あとで買い物いくから。最低限にしろよ」  買い物!? どこへ!? 何を買いに!? 「あ♡これは????」  やだ、こんなトコで破廉恥な!! 若い子、無敵! 「おい」 「だってー。……足りますか?」 「あのな、一緒にいるときに、堂々買えるトシじゃねえんだよ。足りなかったら俺が買いに来るから! つーか、まだある!」  声潜めてますけど聞こえてますから、堂道さん……。 「げ! オ、ハヨゴザイマスゥー」 「あっ! あらあら! おはようございますゥ。お早いですねェ」 「はは、ではお先に」 「どなたですか?」 「……隣のオクサン。きまずー……」
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