結婚まで途中下車? 堂道と雷原さん

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「やべー」  帰るなりソファに倒れ込んだ。  まさか練習に参加するなんて思ってもいなかったから、仕事帰りにスーツ姿のままで教えられた小学校の体育館をたずねた。  オッサンの汚い話で恐縮だが、ワイシャツもなにもかも汗だくだ。    楽しかった。  小学校の高学年から中学三年生までのチーム。今在席しているのは男子だけだ。というのも地元の中学の部活動に女バスはあるが男バスがないかららしい。  練習は考えていたより、ずっと楽しめた。  楽しませてもらった。チビばかりの中でゲームをするのはそれはそれで難しかった。  久しぶりに笑った気がした。  俺がバスケをしていたことを雷春さんが知っていたのはなんのことはない、俺が有名人なわけではもちろんなく、理由はX支社の風紀にあった。 「課長の赴任される前に、部長が履歴書を拝見していろいろ個人情報を」 「ハァ!?」 「全国行くくらいのバスケ部に体罰なんてあって当たり前。それで強いんだから。その延長がパワハラになっちゃうのも仕方ねえべーって」 「……それって擁護なのか? 理解してもらってると喜べばいいのか?」 「さあ」 「ともかく! 管理職以下へ個人情報その他を漏らすことはアウト中のアウトですから」 「さすがに個人ページの回し読みとかはしてないですよ」 「してたら本社にチクりますよ」  なんとも風通しのよすぎる営業部様であらせられることだ。  そして、雷春さんから少年バスケのコーチを頼まれた。前任のコーチが先々月で辞めたらしい。  コーチ不在の今は経験のある父兄が見よう見まねで教えているそうだ。
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