結婚まで途中下車? 堂道と雷原さん

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「フフーン、フーン」  普段手の回らない大物を洗濯して干していると、 『エラー!ルンバの障害物を取り除いてスタートボタンを押してください』 「おいおい、おまえ何巻き込んでんだよー」  ベランダのつっかけを脱ぎ捨てて、掃除機のもとへ走る。  ルンバが食ってたのは俺の靴下でした。  男やもめの割にはわりとちゃんと生活してる方です。言うても独り身長いんで。  普段は寝に帰るだけだし部屋が散らかる事もない。  普段シャワーしかしねえけど風呂も洗って。  買い物行って。  ゴムは……あったっけか。  とまあ、前回オッサンの純情葛藤その他に皆さんの胸キュン頂いちゃいましたけど、まあおれも聖人君子でもなければ修行僧でもないただの俗物なわけでして。  今週末、糸が来ます。  だって、あいつ、懲りずにまたあれからも来るんだもんよ。  ダメだって言っても聞かねえし。  もう無理じゃん。無理だろ。俺だってただの男よ? 健気でかわいい年若い元彼女に追っかけて来られてみろよ? 落ちない男なんてこの世にいねえよ。  で、サプライズは心臓にも悪いし、仕事の段取りも狂うし、あと来るのか来ないのかと待つのもヤなんで、来るときは来るって言えって言ったら、素直に「来週行きますゥ」とか言ってくれちゃって。  四回目が今週末なわけであります。  すみません、ただの男で。四十にもなって、堪え性がなくてすみません。  そもそも、手ェ出したん俺だしな。都合よすぎるわな。  一時とか期間限定とか所詮体のいい言い訳だった。糸が俺に飽きて他に行くまでは、最後まで責任を持たないといけなかった。  まあ、正直、最初は衝動だったんだけれども。  もっともそん時だってそれなりに覚悟はあったけど、それとは別にホラ、俺が若い糸の人生ダメにしたらとか…以下略。 「まー、もうなるようにしかならねえわなー。あいつ、頑固すぎんだもん。言っても聞かねえんだもん」  って、糸のせいっぽく言ってみる。  お、あった、あった、ゴム。  開封済みの箱。使いかけ。  引っ越しでナイトテーブルの引き出し、中身ごと放り込んだから、そのまんまだ。  さすがに、付き合いは「保留」状態にしておく。そこだけは年上としての矜持だ。  せっかく来るんだし、次の日休みなんだし、新幹線の最終の時間とか気にせずゆっくり話したいじゃん!?  ま、ゴムは一応の大人の嗜みっすよ。 「まさか、あいつ残りの数とか覚えてないだろうな……」  もっとも、誓って一個も減ってませんって胸張って言えます。  と、ベッドで連なったパウチを手にしていたら、インターホンが鳴った。 「宅急便でーす」  うん、何もしないつもりの証の物が届いたようです。  次回、乞ご期待(俺が)!
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