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結婚まで650日ごろ #堂道と鉄パンツ
お隣の若いファミリーにも。
「ッス」
「隣のおじさん、恐いからうるさくしちゃだめよ!」
バスケの保護者にも。
「ッス」
「子ども相手なんだからもうちょっと愛想よくすればいいのにねー」
お茶を入れてくれた事務のオバチャンにも。
「ッス」
「ありがとうくらい言えってのよ」
朝のコンビニでも。
「ッス」
「あのお客さん、コワいからレジ入るのやだー」
接待でも。
「え~。東京の方なんですか~?」
「ッス」
「すご~い、やば~い、かっこい~」
「なにがだよ?」
「……」
評判最悪の堂道課長ですが、別に女嫌いでも、ドSでもツンデレでもありません。
媚びないだけです。そんな姿が「アウトロー」とも「硬派」とも言われて過去にはモテた時期もありましたが、今はただのコワモテ、不愛想なオッサンです。
けど、実際には、彼女相手には普通のオッサンです(甘くはならない)。
わりとぐいぐいくるタイプの彼女にタジタジになることもしばしば。
「課長!」
「ちょ、ちょ、ちょ、待て、やばい、糸、コラ」
「課長、やだ♡」
「おま、なんで何も着てねえんだ! もう今度から泊まらせねえぞ! お前は! 好きな男の意志を! 尊重してやろうとか思わねえのかッ!」
「下半身この状態でそんなこと言われても……」
「ほんっと、ヤメてくれ!……ん、は……」
「我慢する必要なんて、ないんですよ?」
「……おい! これ以上やったら、マジギレすっからな」
「かちょう……」
「……あ、は……はぁ……いと、マジで、勘弁してください」
四十代右肩下がりとはいえ、それなりにある性欲。
しかし、四十代としての自覚と責任は堂道課長に鉄のパンツを履かせています。
「どこ行くんですか?」
「……ヌいてくる」
「えー! なんで!? 私がいるのに!? そんなの私のメンツ丸つぶれ!」
「頼むから、俺の気持ちも汲んでくれよ」
「……じゃあ、私が手か口でヤってあげます!」
「……そういう問題じゃない」
しかし。
「今日こそはヤりますから」
「あのなぁ、もう何回言わせんだよ……」
「欲求不満で浮気しちゃいそうですけどいいですか?」
彼女がそう言った後の、一回くらいは鉄のパンツを脱ぐそうです。
#結婚まで650日~310日ごろ
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