結婚まで250日 #三匹の次長課長室長

1/1

4376人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ

結婚まで250日 #三匹の次長課長室長

 平日の夜。汚ない安居酒屋にひしめき合う男たち。  緩めたネクタイ。赤ら顔。  下品でくたびれたオヤジトーク。  絵にかいたような中年サラリーマンの図の一部を構成する某次長、某課長、某室長。 「なんでー? なんで堂道が次長? おまけに結婚するとかありえないんですけど! おかしくね? 真面目にパワハラしてないオレが課長で彼女ナシっておかしくね? 神様不公平すぎる。なんで?」 「うーん? そういうトコでしょ?」  話は飛ぶ。 「クッソー。なあなあ、ところで向こうで現地妻とか?」 「いねえよ」 「単身赴任なんて浮気し放題だろ。なに無駄にしてんだよー」 「だから、そういうとこだよ」  話は戻る。 「てか、なんでー? お前、嫌われ者代表じゃん。それがなんで? 社内恋愛ってなんで? あ、玉響さんの弱み握ってんの? それとも金か? お小遣いあげてんのか! オレも派遣の子にお小遣いあげたら結婚できる?」 「できねえよ」 「オレ、最後に、もうひとはな咲かせたい!」 「ひとはなもなにも一回でも咲いたっけ?」  話がまた飛ぶ。 「池手内課長だけどさー、このご時世にまだセクハラみたいなことしてるからね。あれ、マジどうにかしてほしいわ」 「池手内課長、そうなん?」 「ああ、ま、絵にかいたようなポンコツさんみたいだよ」 「Xの部長も大概ポンコツだったけどなー」 「次長、池手内の成敗、頼んだ!」 「俺、ムダに恨み買うのヤだよ」 「日和るなよ! お前、なんのための悪役ポジションだよ?」 「いやいや、堂道は今、大事な時期だからなぁ。おとなしくしといたほうがいいかもね」  話はまた戻る。 「……堂道」 「あ?」 「玉響さんみたいに若い子、金払ってもヤらせてもらえないよ!? それに、激似のグラドルいるの知ってるか? パワハラしといてゼータクすぎる! パワハラして幼な妻できるんならオレもパワハラする!」 「室は若い子好きだからなー」 「なあなあ、やっぱイイか? アッチの方は」  「……お前さぁ、床事情なんて聞いて楽しいか?」 「室の、そういうとこなんだよなぁ」 「堂道、お前のキャバ通いを玉響さんにバラすぞ」 「通ってねえじゃん。通ってんのお前じゃん」 「聞いて聞いて。今の店で、いい感じの子いるんだよー。オレの事、まんざらでもない感じでさー。あー、でも、会社でヤラせてくれる子いたらそれが一番イイ! あー、玉響さん、なんでオレじゃなかったんだろ……」 「だから、そういうとこじゃない?」 #後日、糸にキャバクラ通いをバラされた堂道次長「通ってねえって言ってんだろ!」
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4376人が本棚に入れています
本棚に追加