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直前インタビュー
「俺が歩くと道ができるんすよね。それ見て、俺はモーセか!って毎回思います」
「俺が行くと人が散るんすよ。俺、そんなに怖い?って思うけど」
「みんな、俺のこと、なんだと思ってんでしょうねぇ。妖怪人間とか? ムショ帰り? ジャイアン? 新型ウイルスとかですかね? とにかく恐怖、みたいな感じ」
「ま、口は悪いですね、確かに。顔も怖いって昔から言われてるし。でも治んないすから、顔は」
「嫌われ者ポジションは割と昔からで。部活とかでもそうだったし。慣れてます。嫌わないでいてくれてる友達もとりあえずはいるんで。少ないですけど」
「愛読書ですか。マキャベリ、君主論。『愛されるよりも恐れられよ』……って嘘です。でも、嫌われ者を正当化してくれてるんで。君主じゃないんですけどね。ただの課長ですけど」
「仕方ないっすね。性格なんてもう変わんねぇし。これが俺ですと開き直って胸を張るしか。胸張れるようなことじゃないですけど」
「いえ、いません。一人が楽です。もうちょっと若いときは、再婚するかもしれないとは思ってたけど、もう今は「絶対しない」って断言できます。正直、めんどくさい。そこまで手が回らないです。女の人恐いし」
「投げやりなわけじゃないですけど、諦めはありますね。この先の人生、淡々と終わっていくだけだろうなっていうのはあります。仕事の成功っつてもね、大きな会社の中の歯車の一つですから、そんなたいそうなモンでもないし。ただその中で、常に誠実ではありたいなとは思ってます、人にもモノにも。それくらいかな、俺が部下に背中見せられんのは。後は、こんな上司になっちゃだめだよっていう悪い見本かな」
「あー、煙草うめぇ。仕事終わってクタクタで帰って、酒飲んだら明日になってる毎日ですけど。こなしていくだけです、連綿と続く毎日を」
「ご褒美? あれば欲しいですよ。喜んでもらいますよ。誰もくれませんけどね」
……って、何の茶番なんだよッ、コレ!
んなこと、させんな!バコッ(ゴミ箱蹴った)
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