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口に出して話せるかいな
「それでどないやったん?」
「どないやったって?、何のこっちゃ?」
間宮が訊きたい事柄は有島にはおよそ想像することが出来た。
だが無事、現世に戻って来た有島は、まさか自分の会話が、間宮が居たジムの現世に漏れているなど想像もし得なかった。
「有島さん、あんたな・・マシンのベルトの上に自分から横になったかと思うと・・
『も~お姉ちゃん、そんなとこ触ったら・・アカンって、お爺ちゃん辛いがな、え~三途の川かいな? そんなとこ誰が行くもんかいな』
って、あんた、そない言うて魘されていたんやで、儂も真野君も・・いや、儂ら二人だけやない、近くに居った人ら、みんな、聞いてたがな」
「ホンマかいな⁉ あっちの(三次元)世界のことは現実の世界では聴こえん筈やて、確かお姉ちゃんが言うてたけど?・・オカシイな・・?」
確かに三次元に存在する生物の声は聴こえないが、現世に肉体を残す有島の言葉だけは、現世の世界でも有島の口角を返してリアルに聴き取れたのである。
「叶わんな、そんなとこまで訊かれたんじゃ・・まぁ、儂はホンマ行く前には、あの世とやらへは行ってもエエとは覚悟しとったんやけどな、あんな風に接客されると・・何やったら、もう少し生き続けたろかいな・・って思たら、この有様や」
「あんな風って、どんな風なんや?」
「耳かきや・・ん~イヤリス云うらしい⁉」
「なんやそれ?イヤホンやったら知ってるけど・・もうちょっと分かり易く言うて~や」
「アホかいな⁉ そんなん口に出して話せるかいな、そんなに知りたかったら、間宮さん、自分で行ってきやはったらわ?」
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