不可幸力

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こちらへ来てから朝とお昼と夜は湊にメールするように言われていた。 生存確認だと言われ、食べたものを写真に撮って送れという。 地味にめんどくさいけど、まぁ仕方ない。 私はその日も写真を撮って送っていた。 「七瀬ちゃん、何してるの?」 最近は日野さんと社食に来る事が増えた。 「あぁ、夫に食べたもの送ってるの。」 「毎日?」 「えーっと…毎食…?ちょっと心配症で…」 多分私が寝たきりになったのも悪いんだよな… 「うわー…俺の彼女と一緒だわそれ…」 「そうなの?」 「うん、束縛激しいんだよね。俺は嫌じゃないから全然いいんだけど。」 「嫌じゃないの?」 「俺メンヘラな女の子が好きなんだよね。あ、だから七瀬ちゃんみたいなタイプは彼女には出来ないから俺といても何にも起こらないと思うよ。」 「そ、そうなんだ。」 「うん。だから俺も七瀬ちゃんといると楽なんだ。」 「へー…ありがとう…?」 人の趣向って、ほんとそれぞれだな、と思った。
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