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ぽとんと、鈍くなっていた感情に小さな波紋が生じ、みるみる波立っていく。ついには大波になり、俺の心を大きくかき回し始める。
「たとえば……もし俺が、お前に興味が無くなったとしたって、今は……。今はもう何も問題ないだろ?」
感情の波に揺られて、俺の声も揺れてしまう。
たった数語の言葉を吐き出すのも難しい。
「でも! 興味が無くなったら、バレー部の時みたいに、健太郎、全部忘れちゃうんだろう? つまんないと思ったら、僕なんかもうどうでも良くなっちゃうだろう?」
優斗の右手が俺のシャツを強く掴んでいた。
「なあ!」と振られるその手をとって、『大丈夫。俺たちは変わらないよ』そう言えたら、どんなにいいだろう?
だが、これ以上は無理だ。
優斗、お前は間違っているよ。
そんなに俺を追い詰めてはいけなかった。
逆なんだよ。逆だ。
俺は――。
俺は、お前に執着しすぎているんだ。自分を壊してしまうほど。
掴まれていた優斗の腕を握り、ゆっくり引き離す。
「だったら、大人しくやらせろよ」
あっ、と見開かれる優斗の目を残像に、俺は彼にむしゃぶりついた。
床に引き倒すと、抵抗をゆるさず、ダボダボのTシャツをまくり上げ鎖骨に舌を這わせる。そのまま強めにかむと、優斗がびくっと揺れた。
かまわず首筋に移動し、夢中で口づける。甘噛みしてむしゃぶりつく。
すると、後頭部を優斗の手でつかまれた。
また拒まれるのか?
苛立ちが湧き、反射的に両手を抑え込めば、優斗の眦からぽろりと涙が零れ落ちた。
ぽろぽろと転がり、金色の髪の毛に吸い込まれるように消えるそれを見て、俺は動きを止める。
どんな顔をしているのか、知りたかったが見ることは出来なかった。
せわしなく上下する、彼の真っ白な腹を見て自問する。
これでいいのか?
これからすることは、きっと、また優斗を傷つける。優斗を踏みにじろうとしている。
これが、本当にしたかったことか?
だが俺は、目を閉じてすべてを追い遣った。
嗅いでしまった優斗の甘い香りに、とうてい終わらせる事など出来なくなっていたからだ。
再び唇で愛撫をはじめる俺に、彼があきらめたように力を抜いたのが分かった。
あとはもう、ただ、この体に溺れていくだけだ。
首からまた鎖骨、そして乳首へと舌を伸ばして唾液の道をつけながら、優斗のズボンと下着を引き下ろす。へそのくぼみを舌でくじる様に嬲り、下生えを濡らして食めば、優斗のそこはしっかり立ち上がっていた。
俺は体をずり落とし、開かせた優斗の足の間におさまると、右手でそれを支えて、鼻先を上から下までこすりつける。
最初は純粋に興味からだった。その造形が奇妙で、おもしろくて、それをそのまま忠実に写し取りたいと始めたことだった。
それが、こんなに愛しく思うようになるなんて、つくづく不思議だ。
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