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すぐにもっと強い刺激が欲しくなった。
動かそうとするが滑りが足りない。離れるのが嫌だったが、俺は優斗の中から一旦引き抜いた。
「はぁっ! …………んくっ」
ずるりと音がしそうなほど重くなったそれが抜け出る時、優斗は激しく腿をふるわせ、そのままくたりと伏してしまった。
それを横目で見ながらベッドを降り、裸でクローゼットをあさる。かごに立てておいたボディーオイルを手に取ると、また彼の傍に戻った。
オイルを手に取り、こぼれるのもかまわず自身にたっぷり纏いつかせる。そして、横たわったまま浅く呼吸をしている優斗にまた圧し掛かかった。
早く一つになりたくて、焦って強引に腰を上げさせ、今度はバックから一息に貫く。
「……ぁあっ!」
優斗の背中が猫の様に反り返った。金色の毛並の猫だ。
白くて美しいその真ん中の背骨に手を這わせ、腰まで滑らせてやると、優斗の肌が粟立つ。
そのまま前に手を回し、やわやわと可愛がる。
オイルの滑りを借りてちゅくちゅくと音を立ててしごくと、優斗も快感の吐息をこぼし始めた。
俺はブランコをゆっくりと漕ぎはじめるように、体を揺らす。
優斗ごと揺れて、少しずつ刺激が生まれるのを味わう。
少し余裕が生まれたのか、優斗が何か言いたげに肩越しに俺を見た。
その目は、涙の膜でおおわれて、黒々と光って、底の無い神秘的な湖のようだ。
体はこんなにも熱いのに不思議と凪いだその目に引き寄せられ、今度こそやっとキスをする。
優斗の熱い息を飲み込みながら、いつもそう感じる冷たい舌をからめ捕り吸い付き、おもうさま味わう。食いついて奥まで入り込み、上あごを撫でまわす。
そうしている間にも、俺は腰の動きを早め、大きくしていった。
ぱちゅぱちゅと早いリズムで結合部から音が鳴りだす頃には、優斗はたまらないと言うように顔をそむけ、吐息に、おさえられない嬌声が混ざるようになった。
「……はっ、はっ、ん、あっ、あっ、あっ」
心地よく俺を煽るそれを聞きながら、気がつくと俺は汗でぬめる体を優斗にぴたりと密着させ、きつく抱きしめていた。
決して逃がさないように両手を腹の上に巻きつかせ、自由を奪った姿勢で圧し掛かり、腰を振りたくる。
少しの隙間も作りたくなかった。
ぴたりとくっつけば、優斗の感覚も感じられる気がした。
このまま摩擦で熱され、溶けて混ざり合うのではないかと夢想した時、脳裏に浮かんだのは、どこかで見たアメーバの捕食だった。
体全体を大きく広げ、えさを包み、取り込む。
今の俺は、アメーバのように原始的な衝動で、優斗を取り込んでしまいたかった。快感の力を借りて、気持ちいいと感じるだけの生き物になれたら、このまま俺たちは混じり合えるだろうか?
汗で光る優斗の背中に額を押しつけ、祈るように口づけを落とす。
すると、びくびくと痙攣した優斗の口から、ひときわ大きな悲鳴が上がった。
その途端彼は力尽き、体重を支えていた腕を折った。
「…………も……きつぃ……」
肩で荒く息をする優斗は、ずっと慣れない姿勢に我慢していたのだろう。ぺちゃりとカエルの様にうずくまり、腕も足も震わせている。
可哀想に――俺は眉根をよせた。
可哀想に。こんな俺につかまるなんて。
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