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「いらっしゃいませ色葉さん」
名前を呼ばれた児童は頭を抱えた。
「エレン先生、ま、まだやるの?」
「はい。左様でございます」
「えー……」
「もう少しだけ、考えてみておくんなまし」
うーん、と低い唸りをひとつ挟む。
「ド、ドリンクください」
「当店には四種類のドリンクがございます」
「炭酸のやつで」
「炭酸は二種類ございます」
「こっちの方」
「こっちとはどれざんしょ」
彼女も石のように固まった。
「いらっしゃいませ創志さん」
次の児童。
「もういいじゃんエレン先生。こんなの誰も読めないもん。そろそろやめよう」
「これでおしまいにいたします」
「本当に?これで最後?」
「はい。だからもう少しだけ、考えてみて頂きたく存じます」
「じゃあ、えーっと……」
高学年ならばと皆の期待がかかる。
「店員さんのおすすめをください」
お!と皆の目が輝いた。
エレン先生も驚いて、ヒューイと口笛を吹いた。
「全部でございます」
ああーと嘆息が漏れる。
「じゃ、じゃあ、全部ください!」
エレン先生はまた口笛を吹いた。
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