再会

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再会

 心臓が、もし今止まっても、不思議じゃないと思えた。それくらい激しい動悸に、息をするだけで精一杯だった。 「凛々(りり)! 久しぶり!」  二年振りに見た彼の顔に、変わらない笑顔に、顔を熱くする。金に近い茶色に染まった髪も、少し伸びた身長も、ピアスの穴の数が増えたことも、見たこともない私服も、彼を変えるほどのものではなかった。 「結構酒飲んだ? 顔真っ赤じゃん」  隣に座る彼から僕は目を逸らして、半分くらい残っていた手元のグレープフルーツサワーをぐいと飲み干した。炭酸にむせて咳をすると、彼は大笑して僕の背をさする。掌の熱を感じて、下を向いたまま動けなくなった。 「大和(やまと)のヤツさ、今まで一回声掛け時は行かないって返事きたのに、凛々くるぞって言ったらソッコーでやっぱ行くって連絡きてさぁ、笑ったわ!」  幹事らしい男は、僕と大和と呼ばれた彼の正面に座った。家に来ているのを何度か見かけたことがある。 「別に凛々目当てじゃねえし。サークルの集まり中止になっただけだっつの」  ちらりと彼の視線が向けられるのが分かった。 「そもそも卒業してから一年半で同窓会って、ただの飲み会じゃねーか」 「いやさぁ、高校メンツで酒飲みたいなーとか思っちゃって」 「成人式ですぐ会うだろ」  と、彼が向こうのテーブルに間違えて置かれた自分のドリンクを取りに行く。その帰りにクラスメイトに捕まってしまった。 「凛々さあ、この後ヒマ? 最近彼女と別れて溜まってんだよね」
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