美しい双子

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 そこで母は僕の身体を強くするために、小学校に入ると同時にスイミングスクールに通わせることにした。普通の運動では怪我をするかもしれないと水の浮力を考慮した結果だそうだ。まるでプールで膝の負担を軽減させてウォーキングする老人にするような気遣いだと思う。勿論不公平になってはいけないので凛々も一緒に通うことになった。  凛々は通い始めてすぐに顔をつけてビート板を使ってではあるが、二十五メートルを泳げるようになった。僕は顔をつけるのも恐々で、一ヶ月後も僕は幼稚園児もいる初心者コースを脱していなかった。凛々はその頃にはビート板無しで泳げるようになっていたけれど。  小学校六年生になる頃には、凛々は個人メドレー――クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの四泳法――の二百メートルを泳げるようになっていて、クラブを代表してジュニアの地区大会に出るほどになっていた。一方僕はようやくクロール、背泳ぎ、平泳ぎを覚えて二十五メートルを泳ぎ切れるかどうかというくらいだった。  しかし、水泳のおかげか年齢によるものか、その頃には身体は丈夫になっていたし、学校では凛々とはクラスがずっと違ったので、多少の自立心も育ち、凛々が居なくても何とか輪に入って行動することはできるようになっていた。服もそれぞれの好みに合わせて好きなものを着始めると、服装で僕等を間違える人は少なくなった。  明るい色や英語や柄が入ったものを好む凛々とシンプルなモノトーンを好む僕。ただ、水泳の時だけはキャップの色を昔と同じで赤と白で分けていたけれど。
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