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さっき幹事の男の言っていたことを思い出して反射的に言葉が口をついて出ていた。
「へー、ヤリマンの凛々がねぇ」
「あっあぁっ……!」
中で大和の指が壁をぐりと押し上げるようにすると、感じたことのない快感が脊髄を走り抜けた。何が起こったか分からなかった。
「じゃあ、前立腺責められるのも久々?」
大和が孔を拡げ、更にもう一本指を挿入する。圧迫感を感じながらも、さっきの刺激が欲しい僕の身体は大した痛みもなく受け入れた。
「やっ、あっあぁっ」
執拗なほど性感帯を責め立てられ、喘ぎ声が止まらなくなる。そして両脚を抱えていた手は、いつの間にかシーツと大和の腕を掴んで必死に愛撫に耐えていた。
「嫌なの? 気持ち良くないなら抜こうか?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、僕の前髪を掻き上げる。僕の反応を見て嫌がっていないと分かっているだろうに、そんな意地の悪いことを言うなんて。想像の世界の彼はそんなことは言わなかった。
「きもち、いい……大和もっとしてっ……」
熱に浮かされたまま、懇願する。と、大和が僕の耳元に唇を寄せて囁いた。
「可愛いよ」
その瞬間、全身の血が凍り、総毛立った。
気付くと、僕は大和を突き飛ばして、ベッドの隅で震えていた。さっきまで側に在った幸福感は、恐怖に塗り潰されて消え去っていた。天蓋のピンクの薄いカーテンが大和の後ろで揺れている。
と、唐突に胃から迫上がってくるものの感覚に、僕はベッドを飛び降りてトイレに駆け込んだ。便器に顔を突っ込むと同時に居酒屋で食べた物――恐らくアルコールも含め全て――が、吐き出される。
「げほっ……うっ……」
「やっぱり酔ってたんじゃん」
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