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手を伸ばす。流線形に光る。
久しぶりに開けた左下の引き出しの中から、小さな箱に入ったネックレスを手に取る。
もともと銀色だったのが、くすんで揺れる。
ちゃんと磨いておけば良かった。
脳裏に過る、あの人との最後の会話。
些細な事で喧嘩して、道を別れて。
謝る事も「別れよう」も言えないまま、あの人がこの世を去った事をテレビで知る。
手を伸ばす。流線形に落ちる。
当たり前に明日があると思っていた。
静かに鈍く光る、いつかのプレゼント。
滲んで良く見えない。
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