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「いや、でも、それなら君はどうして……」
メアリはどうしてその事を知ったのだろうか。
根津が疑問を口にすると、彼女はつまらなそうに口を開く。
「警察内部に協力者がいるんです。私、以前は捜査に助言して協力をしていたので。今はむしろ逆ですけど」
「復讐、というのは?」
メアリの答えに納得し、根津は先程メアリが言ったことについて確認しようと聞いた。
「復讐が望みなら、お手伝いしますよ。目には目を、歯には歯を、罪には罪を。犯人には同じ目に遭ってもらいます」
殺人には殺人を――という言葉をメアリは飲み込み、同害報復を宣言する。
それは、犯人に対する静かな怒りであり、死刑宣告のようなものだった。
だが、メアリは「罪には罪を」と言った。
復讐――犯人を殺すために、新たな殺人犯が生まれてしまう。
「大丈夫です。犯人に下るのは裁きですから。あなたがそれを望むのは何も悪くありません」
先程とは真逆の、温かな言葉と優しい表情に根津は頷いた。
それをみて、メアリが微笑む。
いつの間にか雨は上がり、空には虹が掛かっていた。
◇
そして数日後、ある少年が都内の自宅玄関前で変わり果てた姿で見つかった。
上半身は裸で、喉から腹部まで鋭利な刃物で切り裂かれ、体に詰まっていた臓物は彼を囲むように綺麗に並べられていた。
奇しくも、発見時には雨が降っており、少年は根津まゆみの遺体と全く同じ状態で見つかったのだ。
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