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まるで、まゆみが亡くなっていた現場そのものを再現したようだった。
同一犯とするにも奇妙なくらい、写し取ったかのように同じだったので通報を受けて駆けつけた警察関係者は驚いたという。
変わり果てた少年を最初に見つけたのは、この家に通いで来ている家事代行の女性――所謂、家政婦だった。
雨の中、傘をさして門をくぐり玄関まで歩いていたところで、赤と黒が混ざり滲んでいるのを発見した。
あまりのおぞましい光景に腰を抜かし、悲鳴を上げたという。
降り注ぐ雨の冷たさでなんとか我に返り、震える手で家主に電話をかけた。
彼女から報告を受けた家主である父親から最寄りの警察署に連絡が行き、捜査が行われることになった。
何も知らない現場の刑事たちは、根津まゆみ殺害事件と同一犯の反抗ではないかと考えたようだ。
自宅玄関前での犯行、遺体から内臓を取り出して並べていたこと――類似点が多かった。
「犯人のものと思われる血痕が現場から出ました。下足痕も。どちらも鑑定が進められています」
少年の父親である刑事部長の元にくる報告。
部下たちは連続事件の手がかりだと思っている。
しかし、それがあり得ないことだと彼は知っていた。
「先日の事件と類似している」
二つの現場を見た人間はそう思っただろう。
いや、むしろ、奇妙なくらい同じだったと思ったはずだ。
「どういうことだ……」
模倣犯にしては、写し取ったように同じ犯行現場。
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