第1幕 雨

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 死体発見時の写真を見比べても、死んでいる人間と場所が違うということくらいしか違う箇所がない。  写真の中にチョークで丸印が付けられた箇所があるが、それも寸分違わず同じ位置に見える。  二つの事件現場を似せようとした犯人がいたとして、ここまで正確に再現できるのだろうか。 「血液のDNAから、犯人が断定できればこの気味の悪さも払拭できるか……」  その呟くような言葉に答えるものはいない。  窓の外では、雨音に混じり雷鳴が響いていた。 ◇  数日後、DNA鑑定の結果が出た。  それが刑事部長の耳に入るのと同時刻、各放送局のニュース速報でも流れた。  ――連続猟奇殺人事件、二件目の現場から一人目の被害者の血痕が見つかる。  一見しただけでは意味がわからないだろう。  だが、察しの良い人間は気付いたはずだ。 「どういうことだ。すぐに速報を止めさせろ!」  秘匿したい捜査情報が、リアルタイムでマスメディアに公開され焦る警察内部。  誤報として取り消すことは出来ても、情報漏洩に対して慎重にならざるを得ない。 『えー、先程の速報について警察から発表がありました。連続猟奇事件について、捜査中であり現段階で発表できることはないとのことです』  キャスターによる訂正がすぐに入った。  そして刑事部長は一息吐く間もなく、情報をリークした人間を探すように指示をする。
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