第1幕 雨

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 警察内部が混乱している頃、メアリの言っていた復讐は第二段階を迎えていた。  ただ、被害者と同じ苦しみを与えるだけでは足りない。 「真相は埋もれてしまうかもしれないけれど、復讐させてもらうわ」  メアリの瞳の中にある星が揺れた。  既にマスメディアを通して、事件の証拠隠蔽があったことを臭わせている。  その一環として、第二の被害者として報道されている刑事部長の息子・若柴(わかしば)海離(はいり)のスマートフォンを週刊紙の編集部に送り付けた。  『Find me』というメッセージを添えて。 「メディアが公開してもいいし、警察に届けてもいい。若柴海離には犯した罪をその身をもって償わせた。あと、裁かれるべきは隠蔽に荷担した人間たちよ」  メアリが現場にわざと残した『痕跡』に、警察が気付かないはずがない。  血痕と足跡を残し、根津まゆみの存在を意識させた。  そして、海離の遺体から取り出した臓物の横に『Look at me』というメッセージを口紅で書いて残した。 「私を見て」  メッセージを直訳するとそうなるが、まゆみを見てほしいという意味ではない。  実は、まゆみ殺害現場に残されたメッセージを再現したものだ。 『並べられた内臓の下に、血文字で「Look at me」とあったようです。上から掛かった血液で霞み、辛うじて読める程度でしたが』  現場の再現に当たって、まゆみの遺体発見時の写真を見ていたメアリに、鏑木が指摘した。
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