10人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
しばらく見ていると画面が切り替わった。
記者会見のようで、一列に並んでいるのはどれも警察関係者だと思われる。
『刑事部長である若柴の子息が殺害された事件で、同一犯による事件と思われた事件の被害者のDNAが検出されたことは報道された通りです』
記者たちのフラッシュに照らされているのは、警察幹部のようだ。
『再度、現場に残っていた血液を鑑定したところ、前の事件で個人を特定できないという結果が覆りました』
再捜査している状況が語られる。
『一件目の現場に残っていた犯人のものと思われる血液が、二件目の被害者のものとほぼ一致しました』
警察幹部により発表されたのは、一人目――根津まゆみ殺害の犯人が二人目の被害者である可能性が高いという内容だ。
「警察上部は今回の事件について、犯人の父である若柴刑事部長が証拠の隠蔽を指示した上で、殺人犯となった息子を自ら手を下した――という形で処理しました」
補足のように言った鏑木の言葉を裏付けるように、同じ内容がテレビの向こうで語られる。
刑事部長は殺人罪と証拠の隠蔽、改竄の罪で逮捕。また、彼の指示に従った部下にも処分が下った。
「これって……」
「彼らの犯した罪の代償。息子を手にかけたというこ以外は事実なのだし」
実際に手を下したのはメアリだが、ここまで大きく報道されてしまっては、彼らが否定したところでどうにもならない。
若柴も息子の罪を背負っていくしかないだろう。
最初のコメントを投稿しよう!