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「ああ、自己紹介がまだでしたね。私はマリと申します。ハンドルネームですけど本名のもじりなので……よかったらそう呼んでください」
根津は、ひとまず彼女の話を聞くことにする。
火葬が行われる間、喫茶室に移動して話をすることにした。
「MAYU――まゆみさんと知り合ったのは、交流を目的としたSNSでした」
マリが自分のスマートフォンを取り出し、SNSでやりとりした記録を見せる。
最初は『引っ越してきたばかりだから町のことを知りたい』などを話していた。
「この相手は本当にまゆみなのか?」
疑いたくなる気持ちはマリにもわかったので、プライベートな個人チャットの記録を呼び出す。
そこには直接電話で話をしたい旨の言葉と、まゆみのスマートフォンの電話番号が書かれていた。
それに対してマリは『他人に簡単に電話番号を教えるのは不用心ですよ』と答えつつも、今から電話するとメッセージを送っている。
「確かに、まゆみの番号だ……」
電話番号が合っていたため、根津はマリとやりとりがあったことが本当であると確認でした。
「電話で相談を受けました。まゆみさんは若い男に声を掛けられ、それから後をつけられたりするようになったと話していたので……警察に相談するように助言したんです」
マリの話した内容は、根津にとって初耳だ。
まゆみから根津への相談はなく、困っていた様子も見せなかった。
「でも、気のせいかもしれないから――と、警察への相談はしていなかったみたいです」
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