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一方、マリは警察の捜査状況を調べていた。
現場から採取された犯人のものと思われる血液。
汚染されていてA型の男性ということしかわかっていない――とされているが、実際は違っていた。
「ちゃんとDNAは検出されていたのね」
その上で、前歴のある犯罪者のものと照らし合わされて確認された痕跡がある。
前科のある人間のDNAデータとは一致しなかったこともわかった。
「それなのに『血液は汚染されていて鑑定が難しい』なんて嘘の結果を発表した」
マリはわかっている事実から、ある一つの仮説を立てる。
「犯人は、警察関係者かその家族……」
犯人を隠蔽しようとする意図が見えたことで、思い至ったのがその可能性だ。
だが、今のところはただの仮説に過ぎない。
「専務に調べてもらおう」
スマートフォンのメッセージアプリから、専務へと調査依頼をする。
箇条書きでまとめた文章をメッセージアプリから送ると、一枚の画像を添付した。
写真には一人の少年が写っている。
『この子、被害者にストーカー行為をしていたようなの。もしかしたら、犯人かもしれない』
追加でメッセージを送ると、すぐに既読マークがついた。
同時に、マリのスマートフォンが着信を告げる。
通話ボタンをタップすると、落ち着いた男性の声が聞こえてきた。
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