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戸惑いを隠す間もなく、私の足に何かが触れる。恐る恐る足元を見ると、知らない男の子が私の靴紐を結んでくれていた。
「その、危ないと思って……」
何を言ったらいいのか、どうしたらいいのかが分からなくて困っていると
「穂乃おまたせ。あれ? 優も居るじゃん。どうしたの?」
「華おつかれ! この子の靴紐が解けてたから、気になって結んだんだ。そのまま歩き出したら危ないと思って。
穂乃ちゃんって言うんだね。俺は矢野 優です。いきなりでびっくりさせちゃったかな、お節介でごめんね」
申し訳なさそうな笑顔で立ち上がる彼。
しゃがんでくれていたから気づかなかったけれど、彼はとても背が高かった。
「いえ、助かりました。ありがとうございます」
彼を見上げ、私は笑顔で伝える。
「穂乃、優は私と同じクラスでとっても良い奴だから仲良くしてあげて。
優、穂乃は隣のクラスで私の大親友なんだから仲良くしてよね!」
華が間に入って説明してくれた。
「よろしくね穂乃ちゃん」
「はい、よろしくお願いします」
と私はお辞儀をすると
「敬語じゃなくて大丈夫だよ」
と優くんは朗らかな笑顔を私にかけてくれた。例えるならそれは太陽のよう。
時間が止まったように私はその太陽に魅入ってしまった。その時間を華の声が途切れさせた。
「よし、穂乃帰ろう。ってアイス食べる気満々かよ、メニュー見せて」
華の言葉に私は恥ずかしさが込み上げる。どうやら華には私のスマホの画面が見えたみたい。アイスに夢中で靴紐に気づかなかったことがバレてしまって情けない……。
「だって、食べたかったんだもん……。
みてみて華、新作フレーバー美味しそうだよ」
「ほんとだ! 迷っちゃうね、これは。
そうだ! 優も一緒に行こうよ!」
絵に描いたようにポンッと手を叩き、閃いたように華は優くんに提案する。
「お邪魔していいの?」
「もちろんだよ。ね、穂乃?」
「うん、一緒に行こう?」
「ありがとう」
こうして出会ったばかりの優くんも一緒に、3人でアイス屋さんに行くことになった。
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