エピソード2 甘酸っぱいアイス

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エピソード2 甘酸っぱいアイス

「2人はいつも一緒に帰ってるの?」  アイス屋さんに向かう途中、優くんが私たちに質問してきた。 「「そうだよ」」 「ほんとに仲がいいんだね」  ハモった返事にフフッと笑いながら彼は続けてこう言った。 「部活とかも一緒?」 「そうだよ! 当ててみて!」  華が楽しそうに聞いている。  優くんは真剣に悩んでんー、と首を傾げながら考えている。 「ヒントちょうだい! 運動部、文化部?」 「文化部!」 「吹奏楽とか?」 「ブブー!」 「演劇?」 「ちがいまーす!」 「え、わかんないや……答え教えて!」  優くんはなかなか当たらない答えに眉毛を提げて困った様子。 「正解はジャカジャカジャカ……ジャン! 天文部です!」  当てられなかったのが嬉しいのかノリノリで答える華は、意外? と聞くように優くんの顔を覗いた。 「天文部か〜、どんなことするの?」 「夜学校に残って先生たちとご飯食べながら星を見るの!」 「え! めっちゃ楽しそうじゃん!」  彼が目をキラキラさせて、華の話に食いつくのがわかる。 「ご飯は調理室で作るんだけど、穂乃がめっちゃ料理上手なの! この間の餃子がほんとに美味しくてほっぺたトロけちゃった!」 「そうなんだ! 穂乃ちゃんよく料理するの?」 「え!?」  仲良さげに話してる所を聞いてるだけで十分だった私は、急に話を振られて分かりやすく驚いてしまう。 「どうだろ……週一くらいで作るかな?」 「そうなんだ! いい奥さんになりそうだね」  普段言われないことを言われて、私は「いやいや」と照れてしまう。心なしかさっきよりも気温が上がった気がした。 「ちょっと! 口説かないでくれる? 穂乃は私のだから、どんないい男でも渡さない!」  腰に手を置き、威張るような怒るような……、とにかく可愛らしく大袈裟にアピールする華を見て 「華は穂乃ちゃんが本当に大好きなんだね!」  と、優くんがやんわり微笑んだ。
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