エピソード2 甘酸っぱいアイス

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 暑い中、やっとレジ前に着いてアイスを注文をする。 「このチョコのアイスで……えーとコーンでお願いします」  私は店員さんと話すことが苦手でつい不自然な言葉になってしまう。  アイスを受け取った私と優くんは、最後に注文する華を待ちながら言葉を交わす。 「穂乃ちゃん店員さんと話すの苦手でしょ。俺も苦手なんだけど、見てよ華。」  華の方に視線を合わすと、店員さんと楽しそうに話しているのが見える。 「華は誰とでもすぐ仲良くなれるし、明るくてかわいいから──」 「穂乃ちゃんもかわいいよ? 会ったばっかりだけど一緒に居て安心する!」  私の言葉を遮って優くんは嬉しいことを言ってくれる。だがそれは、感情が渋滞している私にはなんて返すのが正解か分からなかった。心の中でワタワタしてると、タイミングよく華がやってきた。 「おまたせ〜! 写真撮ろ、早くしないと溶けちゃう! あれ? スマホどこだろう……」 「カバンの中じゃない? 私ので良ければ撮るよ?」  ポケットからスマホを出しながら尋ねる。 「じゃあ穂乃お願い!」 「OK! 優くんもうちょい寄って〜」 「こう?」 「うん! じゃあ撮るね」  パシャッと音が鳴り、写真を確認する。 「いいじゃん! それより早く食べよ!」 「溶ける溶ける!」  暑さのせいでアイスは溶けるのが早い。 「2人ともコーンだから垂れてきちゃうね」 「優のカップが正解だったね」  2人の会話にもっと考えればよかったと、後悔しながら急いでパクパク口に運ぶ。 「華これ半分! おいしいよ」 「あ、忘れてた! 美味しすぎて食べすぎたかも」  えへへ、と可愛すぎる笑顔で華が笑う。 「いいよいいよ! 交換しよ!」 「ありがと穂乃! んー、チョコのも美味しい!」  口にチョコレートを付けて頬張る。 「華チョコついてるよ。はい」  優くんがポケットからティッシュを出して渡す。 「ありがと! 溶けるの早くて上手に食べれないや……」  と、眉をひそめて悲しそうにする華。  華は喜怒哀楽が激しくて、素直でコロコロ表情が変わるからとても可愛い。裏表の無い性格は女子からも男子からも人気である。そんな華に対して私は密かに思っていることがあった──。
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