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「アレックス?」
こころなしか怪訝そうに呼びかけられたそのとき、心が決まった。
ごく自然に外出が許されるようになるにはこれしかない。ゆっくりと呼吸をしてから顔を上げると、鮮やかなペリドットの瞳をまっすぐに見つめて訴える。
「シャーロット、大人になったら僕と結婚しよう」
「……えっ?」
「僕、学校を卒業したら騎士になろうと思ってるんだ。だから一緒に王都で暮らそう。街でも、海でも、どこでも行きたいところに連れて行ってあげるよ。七年くらい待たせることになるけど」
彼女のために自分を犠牲にするわけではない。もともと彼女との結婚をひそかに夢見ていたのだ。こんな形でのプロポーズになったことは残念だが、一緒に暮らせたらと想像するだけでウキウキする。だが——。
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