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4、偽者の脅威
昔々ある所に、その町一番の美女が居りました。
町中を歩けば、誰もが振り返り、二度見をしてしまう程の美貌。
そんな女性に対して、男達が恋心を抱くのは極普通の事でした。
愛想も良く、気前のいい女性。だがしかし、誰にも靡く事は無い。
高貴な御身分で御座いましょう。
その女性の背後には、御付の者が控えて御座います。
現代で云うところの、ボディーガードとも呼べる存在。
下手に手を出そうものならば、彼等が動く。
貴女に近づく者は、それなりの御身分で無いといけないのだと....。
誰しもが、距離を置く様になりました。
何処の名家の御令嬢なのか、誰もその女性の正体を知りません。
時に、榑林の御先祖で御座います清様は、その女性の存在を知るや否や、接触を試みます。
「これはこれは、美しい。」
遠目で見ても、その女性の類稀な美貌に、ひと目で恋に落ちる。
どうにかして、取り入ろうと模索致しますが、清様程の財と美貌を持っていても、その女性が靡く事は有りませんでした。
――――時が経ち、その女性の存在が風化した頃、枝分かれした物語が、再び結びつくなどとは、この時は誰も知らない。
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