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瓜二つの美貌が見つめるのは、
無垢で無情の麗しき下女
もう片方は、彼女を視界に捕らえるや否や、
「夏芽....おいで。」
と少し震わせた声を掛ける。
そして、もう片方は平然を装い
指先でテーブルを二度叩き
熱い視線を送るのだ。
大人しく着席した彼等
左右のどちらが、
どっちか何て、彼女にはお見通し?
「本日のメニューは、――――です。」
淡々と喋るメイドは、
双方と距離を持ち、
態と気付いていない振りをした。
足早にこの場から逃れようとする様は、
とても不自然であった。
さっさと来いよ。なつめ....。
この場に居ない執事は、
薄暗い物置内で下女を待つ。
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