今から卵の話をします

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 どうやって殺されると思う?そう聞いておいて、エレン先生は即座に人差し指と首を横に振る。 「ごめん、今のは忘れて。こんなの君たちにあれこれ想像させるべきじゃない」  ふうっと息を吐いて、唾を飲む。 「オスの最期が知りたくて調べたよ。だけど世界で行われている二種類の殺され方を知って、三種類目を調べるのはもうやめた。勝手に手が止まったんだ。産まれたばかりのヒナの残酷すぎる最期に涙が出た」  肩を落とすエレン先生。皆もしゅんと暗くなる。 「不平等だよね。もしそのオスが人間だったら、転べば心配してあげて怪我したら病院に連れて行って、熱が出ればお薬をあげるのに。人間は人間の命以外をどう思っているんだろう?」  スズメが街を歩いているのは見たことある?と、一年生の児童に聞く。 「ある」 「僕もある」  野良猫は見たことある?と、次は二年生。 「ある」 「そうだね」  じゃあ野良犬は?と、三年生に。 「ないかも」 「僕も日本では見たことない。どこにいるんだろう?」 「保健所、だったけな。テレビでやってた」 「そこには犬だけ?」 「猫もいたと思う」 「飼い主が見つからなければその犬猫はどうなるんだっけ」 「……殺される」  うんと深く頷いて、エレン先生は辛そうな表情を見せた児童に、優しい瞳を向けた。
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